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相続財産に株式や国債があった場合

相続財産に株式や国際があった場合には、どのような手続をすればよいのでしょうか。特に、株式については、いわゆる「たんす株」として保管されてきた場合や、端株が生じていたが、その後なんら手続をとらなかったものなど様々ありあます。また、株式を保有していても、非上場株式であるような場合などもあり、問題は多岐に渡ります。他方で国債の場合には、株式ほどの問題の多様性がないものの、いずれにせよ相続手続を行う必要があります。この記事では、相続財産に株式や国債がある場合の手続についてご説明いたします。

相続財産に株式や国債があった場合

相続財産に株式がある場合

「株式」と一口にいっても、その内容はさまざまあります。 例えば、主なものとしては、下記のものが挙げられます。 ①上場株式 ②非上場株式(上場していない中小企業の株式等) ③所在不明株式  a.上場株式  b.非上場株式 ④端株等(端株及び単元未満株式等)  a.上場株式  b.非上場株式 相続した株式が上記のどの種類の株式に該当するか否かによって、問題点が異なってきます。 次項より簡単にご説明いたします。

相続した株式が上場株式である場合

相続した株式が上場株式である場合には、口座のある証券会社に連絡をおこない、名義変更手続を行います。 名義変更に必要な書類や、請求書の書式は、証券会社毎に異なります。 しかし、一般的には下記のような書類一式が求められます。 ①名義変更申請書 ②遺言書または遺産分割協議書(相続人の印鑑証明書付き) ③戸籍一式(被相続人の死亡から出生まで遡ったもの)  ただし、2018年より法務局で発行される「法定相続証明情報」を上記書類に変えることが出来る場合があります。 ④相続関係図 上記のうち、証券会社にもよりますが、多くの場合には「原本」を要求されます。そのため、複数の証券会社に口座がある場合や、この記事では説明しませんが、不動産の名義変更を行う必要がある場合には、原本が1通しかない場合には、その分多くの時間がかかります。 対策としては、③に記載したように、あらかじめ法務局にて法定相続証明情報を取得しておくことが考えられます。ただし、「どのような資料をもって相続関係を認めるか」については、各社の判断に委ねられているため、法定相続証明情報が使えない場合もあります。 このほかには、遺産分割協議を行う際に、あらかじめ複数の通数を用意する場合、戸籍を複数組取得するなどがあります。しかし、このような方法は、なぜか他の相続人の反対する、わずか数百円ですが積もると数万円となり、費用が余分にかかることとなり、困難であることが少なくはありません。

非上場株式である場合

上場していない株式を保有している場合には、原則的には証券会社に口座はありません。このような場合には、保有している会社が株主名簿管理人(例えば信託銀行等が株主名簿管理人である場合があります。)を設置している場合には、この株主名簿管理人に連絡をとります。 株主名簿管理人がいない場合には、直接保有している会社に連絡を行い、名義変更の手続を行います。 必要な書類に関しては、原則的には、上場株式の名義変更の場合と同様です。

相続した株式が「所在不明株式」となっていた場合

所在不明株式とは、何年もの間、会社からの通知が到達せず5年以上経過した場合の株主のことをいいます(会社法196条参照)。 この場合、会社は、3カ月の異議申述の期間を経過した後に、所在不明株主の保有する株式を売却することが出来ます。ただし、株主は、その株式の交付の変わりに売却代金を請求することが出来ます。10年間という期間制限があります。 しかし、このような場合には、「通知が到達」しなかったわけなので、例えばたんす等に株券が保管されていた場合は別として、相続人自身がその所在不明株式を知らない場合があります。 このような場合には、例えば、民間の期間で所在株主を探してくれるようなサービス(一般社団法人所在不明株主支援機構等)があるので、問い合わせをしてみるといった方法があります。

相続した株式が端株や単元未満株式である場合

端株とは、とりわけ上場企業の場合の場合、株式を分割したり併合する等して1株に満たない株式が生じる場合があります。 一方で単元とは、会社は取引の単位を大きくすることで、株主の管理コストを小さくしようと「1単元」という単位での、株式の取り扱いをすることができます。この際に、生じた1単元に満たない株式を単元未満株式といいます。 上記のような場合、従来の株主は株式会社に対して、株式の買取りを請求することができますが、こうした権利も「相続」の対象となります。 相続人が株式会社に株式買取りを請求する場合には、その会社に請求して行いますが、その際に必要な書類としては、相続関係を証明する資料一式が必要となります。なお、各会社の規定にもよると思いますが、原則的には原本を請求される場合が少なくはありません。

相続した株式が「たんす株」である場合

現在の上場株式は、2009年より「株式等振替制度」による株主の管理へと切り替わっております。いわゆる、かつて耳にした「たんす株」は株券という証券を前提としたものでした。 株式等振替制度とは、上場株式について証券会社の口座で管理を行い、株券の発行を行わないことを言います。 ここまでご説明した段階で、「あれ?」と疑問に感じる方がいるかもしれません。 近年の相続の際であっても、「株券」の形である場合があります。 このような場合は、相続した株式は、特別口座とよばれる場所に保管されており、相続による名義変更を行うためには、まずは、相続人が証券会社に口座を開設し、この特別口座から、相続人が開設した口座に振替える手続が必要となります。 特別口座から名義変更を行う場合、必要となる書類は、遺産分割協議書や、戸籍等の相続を証明する書類が必要となります。 ただし、詳細は、手続を行う証券会社によって異なります。

相続財産に国債がある場合

相続財産に国債がある場合の手続の方法は、原則的には上記で説明してきたような各株式の場合のように、相続関係を証明する資料一式が必要となります。 ただし、国債の場合には、取扱金融機関がどこであるのかが不明の場合には、被相続人の口座がどこにあるのかがわからなくなるといった場合があります。 国債の場合には、銀行口座の場合とはことなり、各支店からその銀行にある口座を検索してもらうといったことができません。国債は一般的には、各金融機関の支店毎の管理となることから、その顧客情報が他店に共有されていないことが、検索できない理由です。 このような場合には、被相続人の住所地を手掛かりに探すほかないのですが、これで見つからない場合には、国債の相続手続を行うことができません。

相続財産に社債等の債権がある場合

社債等の債権を保有している場合も、原則的には口座のある証券会社で名義変更の手続を行うことによって、相続することができます。 名義変更に必要な書類は、相続関係書類一式と各会社の様式の申請書です。

外国に株式の口座がある場合

ここまでは、日本国内に株式等の口座がある場合を中心に説明してきました。 それでは、海外に株式の口座がある場合はどうすればよいのでしょうか。 例えば、アメリカに株式の口座がある場合には、アメリカでの名義変更はアメリカ法によって行うこととなります。日本との違いは、相続の際に「プロベイト」と呼ばれる相続財産の清算が行われ、この手続きがひととおり完了しないと、名義変更の手続ができないということです。 また、同じ相続でも、遺言書がある場合と遺言書のない場合には手続が異なり、さらに、日本法の法定相続分と異なる相続割合の場合にも、具体的な手続が異なります。 このように、海外に口座がある場合などは、その手続きは専門家以外にはできないものとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここまでご説明してきましたとおり、株式や国債等の相続財産がある場合には、まず、どこの証券会社や銀行の支店に口座があるのかを探す必要があります。また、複数の銀行・証券会社等で手続を行うためには、複数の相続を証明する資料が必要となる場合があります。